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終わり。
やけに部屋がガランとしている。
そんなに、荷物はあったのか。

玄関のそばに、大きなダンボール一箱と、
スーツケースが1つ分。
もう、全部と思っても、後から、後から、
あれも、これも、出てくる。

「帰ってきてよ」

声にならない声で泣き叫んだ。
あんな泣き方をしたのは、きっと、初めてかもしれない。

けれど、まだ仕事は残っていた。
長年使ったキーケース。
もう、かれこれ6年以上使っている。
毎日、中を見なくてすむように
自宅のキーと会社の袖机のキーだけ外に出していた。
キーケースを開く。
真新しい鍵が1つ、
「最近、僕使わないね」
っていった。
一思いにキーケースから外して、
真っ白の封筒に入れた。
封筒には、それだけを、入れた。

部屋を、もう1度見渡す。
どこを見ても、彼のセンスだ。
唯一、六畳一間に似つかわしくない37型のプラズマテレビだけが、
自分を主張していた。

一緒にご飯を食べるために用意したちゃぶ台に、
二人分の食事が並べられることも、もうない。
電子レンジの下にある衣装棚の中身は、
玄関先にあるダンボールの中にすっぽりと入ってしまった。

終わったんだ。
私はしばらくぶりに、穏やかな心境になる。
あとやることは1つ。

「簡単やで。電話1本やで。『すんませーん、ちょっと荷物取りに来て』。
ヤマトさんとこ電話や」
同僚の声が、脳裏に蘇る。
私は静かに電話を手に取った。
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[2008/02/29 20:09 ] | 未分類 | コメント(0) | トラックバック(0)
揺れる
すごい、揺れてる。
地震かと思ったら、自分が揺れてた。

1週間。
とにかく生きることが精一杯だった1週間。

目が、開かない。
うまく、笑えない。
[2008/02/29 13:18 ] | 未分類 | コメント(0) | トラックバック(0)
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