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宇治4日目 本当に失恋したんだ、私。
一目惚れだった。5年前から。そして4年前、再会を果たし、これは一緒になるんだなっていう何かを感じた。それが私が生まれて初めてお金を出して買った抹茶茶碗だった。抹茶茶碗が欲しかったわけではなく、それが欲しかった。嬉しかった。お金が飛んでいったことよりも、よく1年、売れずに待っていてくれたね……、その気持ちのほうが強かった。別れはあっけなくやってきた。2年前。「あっ」、という声を出したときにはもう、床でその器は金つぎも出来ないくらいに割れていた。それ以来、私はずっとあの真っ白でまぁるい形の信楽茶碗を探していた。

最終日。
まずは宇治上神社(国宝)へ行く。いつも必ず行った折りにはお参りを欠かさないところ。お義父ちゃんの店からは宇治側沿いに少し行き、早蕨の道という細道から入る。
▼その途中で見つけたきれいな南天▼

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そしてしばらくすると宇治上神社に辿り着く。手前に宇治神社というのもあるのでご注意。
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そこでお参りをして今度は早蕨の道を戻るのではなく、手前にある宇治神社の中を通って川沿いへ出ると、庵住様の庵の前に出る。朝10時半のこと。庵住様は窓際で写経をされていた。ふと庵住様と目が合う。「庵住様!」と叫ぶと庵住様も大きく手を振り階段を登って少し高台にある庵に向かい、ご挨拶。笑顔で別れた。

店に戻り、「ほしたら行こか」とお義父ちゃんが車のキーを出した。向かう先は信楽。車で1時間くらいのところにある。かなり、期待していた。あの真っ白の抹茶茶碗に近いものがあるのではないかと。信楽に着く。真冬の信楽は日本のチベットと呼ばれるくらいに寒く、山中にある。基本的にお土産屋さんは開いているが、重要無形文化財保持者の工房は基本的にはクローズ。お義父ちゃんが行くのは基本そういった工房。なので今回は美術館とお土産屋さんに行った。いくつか土産屋を回る。白い茶碗はいっぱいあった。たくさんあった。でも、どれも違った。高い茶碗もあった。安い茶碗もあった。でも、あれはもう、どこにもなかった。その時知ったが、その茶碗も重要無形文化財保持者の1人が創った作品。同じものが2つとあるはずがない。その茶碗に出逢うことはもう、一生涯ない。人と、同じなのだ。同じ人は1人としていない。みな違う。焼物も、いわゆる手作りの品というのも同じなのだ。手作りの品は即ち、職人の命の切り売り。庵住様の「今の若い人たちは甘いわ」と言っていた言葉を痛感した。信楽焼だから、信楽に来ればまた似たような気に入ったものが買えると思っていた。まぁ、たくさんあるし、出逢えるだろうと思っていた。私は、本当にあの茶碗を失くしたのだとこの時初めて実感した。

胸の中に堪らない虚無感が走る。が、一期一会という言葉がある。お義父ちゃんは言っていた。「服を買いに行こうと思ってデパート行くやろ。ええもんあらへんやん。そこで買うても(こうても)1度か2度着てポイや。……縁やで。その時ふっと現れんねん。人も、こういうもんもな」、抜け殻のように信楽を後にした。信楽焼が好きだったわけではなかったのだ。あの器が好きだったのだ。私は、完全に失恋した。

店に戻り、茶の一杯も飲まずに4日も世話になったお義父ちゃんのもとを去ることは失礼とも思ったが、お義父ちゃんの都合もあるし、私自身、正直疲れが溜まっていた。茶を一口のみ、店を後にし祖母のいる大阪は堺市へ向かう。

朝、家を出る時、しずかおばちゃんは泣くのを必死に堪えてずっと見送っていた。お義父ちゃんはただただ静かに笑って見えなくなるまで見送っていた。分かっていた。分かっていたから1度だけ振り返った。2人とも、別々に私にこう言った。「幸せになりや。だから、少しでも食べるんやで」、泣きながら駅に向かう道中、私はiPOD でshine のloop を聴いた。アッキーのギターソロの部分がたまらなく吹き抜けの真っ青な空によく似合っていた。

4日間、得たものは計り知れない。4日間、受けた愛情は計り知れない。お義父ちゃんとは血も繋がっていない。たまたま5年前にひょいと入った店の亭主、それだけだ。そこから大事にしてもらってもう5年。言葉が出ない。結論を書きたくても書けない。ならばこのまま終わろう。この店の紹介はあえてしない。この骨董屋は買って欲しいという想いではなく、気に入った人には安く、気に入らない人には売らないかかなり高い金額で売る。だから基本的には価格は書いていない。が、良いものしかない。店内の写真だけ最後に紹介して、宇治での体験記を締めくくりたいと思う。鬱のときはどれほどしんどくても人に触れること、人の温かさに触れ、人の考えに触れ、そして古典に戻ること。その重要さを痛感した実に濃い、そして人間らしい4日間だった。

▼店内の様子1▼
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▼京都の魔よけ。おばあちゃんが孫に作ると良いと言われているらしい▼20070211083206.jpg


▼しずかおばちゃんが作ったステンドグラスのランプ1▼
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▼しずかおばちゃんが作ったステンドグラスのランプ2▼
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▼珍しい飛騨のさしこ糸▼
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[2007/02/11 08:57 ] | 未分類 | コメント(0) | トラックバック(0)
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