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真っ青の空に願う
「ただいま」と、笑顔で店のドアを開けると、ドラマーの修さんは「おかえり」と言い、マスターのムラさんは笑顔で「泣け」と、一言。その場で泣き崩れた。大声で、泣き崩れた。常連のようこさんも、察して黙っていてくれた。大声で泣きすぎて、頭がくらくらして、そのうち泣き疲れて、どのくらい泣いたかも分からず、しばらくその場に呆けた。そして行き場を失った想いが言葉になって溢れ出す。店にあった紙とペンで溢れ出した想いを書いた。ありのままの、私の想いだった。アコギを始めた修さんにベースラインを弾いて貰い、ベッドミドラーのthe rose を歌う。「何か、バラードを即興で弾いて」と私がさっき紙に書いた想いをメロディーに変えて歌う。

彼と離れることで見えたものがこの24時間の中で多すぎて、それに感謝しつつもまだ彼と離れたことのほうがショックが大きくて、そしてあきに会いたくて仕方なくて、あきに早くこの曲を聴いてもらって、早く仕上げたくて、夜中の2時半、私はその曲を忘れないよう、夜道をひとり、歌いながら帰った。心配をかけた姉貴とガヤと、みきねぇには夜分、非常に恐縮ながらメールだけ送った。そして大切な仲間の大事な告白、嬉しいと同時にどうして彼女があれほど優しく、強いのかを知った。3時半、海野と電話をする。海野の力作を目の前に、よく分からないことを喋っていたが、海野はそれを受け入れてくれた。本当は離れたくなかった、でも、自分の中にいる自分が「今は離れろ」、そう言った。そして、泣き崩れてもう何もしたくないのに私の手は筆を求めていた。そんな自分が怖くもあり、嫌悪もあるが、受け入れざるを得ないということも知っていた。

夢で、あきが笑っていた。私はあきに、「あんた、藤吉のクッキー買って来たけど賞味期限、今月末やで」と言い、あきは「早くちょうだいよ」と言っていた。ブルブルと携帯が鳴り、差出人を見るとあきからのメール。あきに、今晩電話をしようと思った。

そのまましばらくまどろみ、身体をベッドから引き剥がし時計を見ると9時。あの人の起きる時間だ。きっといつものように8時半から、ひっきりなしに鳴る目覚まし時計を止めては寝て、止めては寝て、また間に合わないと慌しく出社をするのだろう。私は珍しく服に着替え掃除をし、湯を沸かして茶を入れて薬を飲み、10時に家を出た。午前中は、休職中の残り1週間、平日は毎日散歩をしようと思った。いつもならiPOD を持っていくが、持たずに出た。音楽に、依存はもうしたくなかった。ふらふらと目黒川沿いに出る。京都と違い、本当に東京は花の少ないところだ。でも、空だけはまるで何かを暗示するように吹き抜けの青空だった。あの人はこの空を眺める余裕もなく会社に行っているのだろうと思うと、いつか彼の家から出社した日に中央線から見た、雲の切れ間から差す光を思い出した。

散歩は、思いの他に新しい発見がたくさんあった。区民センターの中にある公園に、小さい庵があること。そこは陽が当たって心地よいこと。区民センターと隣接している美術館の展示ホールを借りるのは安いこと。ものすごく近所の小さな内科があること。

あの人の笑う時、口端を右側に少し上げて笑う癖、うるさすぎる鼾、いつも出来ている目の下のくまと長い睫、じっと見る目と、きれいな眉毛のライン、それを撫でるのが堪らなく好きだ。そして真吾にも敵わないほどのくだらない冗談、匂い。静かな涙が零れ落ちた。


なぁ、今度会った時にはうちら、うまく行く気がするのは私だけ? 私の中にいる私が悲観的には「思わない」と回答してんねんけど。私の直感ってな、当たんねん。それにな、最初に言ったやん。絶対に「放さん」って。だから「離れた」。先のことなんか何一つ分からんけど、この吹き抜けに真っ青な空に、うちらの先を願う。3ヶ月、短く、そして恐ろしく長い。そんな穏やかで切ない、午前。
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[2007/02/15 17:33 ] | 未分類 | コメント(0) | トラックバック(0)
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