スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[--/--/-- --:-- ] | スポンサー広告
終わり。
やけに部屋がガランとしている。
そんなに、荷物はあったのか。

玄関のそばに、大きなダンボール一箱と、
スーツケースが1つ分。
もう、全部と思っても、後から、後から、
あれも、これも、出てくる。

「帰ってきてよ」

声にならない声で泣き叫んだ。
あんな泣き方をしたのは、きっと、初めてかもしれない。

けれど、まだ仕事は残っていた。
長年使ったキーケース。
もう、かれこれ6年以上使っている。
毎日、中を見なくてすむように
自宅のキーと会社の袖机のキーだけ外に出していた。
キーケースを開く。
真新しい鍵が1つ、
「最近、僕使わないね」
っていった。
一思いにキーケースから外して、
真っ白の封筒に入れた。
封筒には、それだけを、入れた。

部屋を、もう1度見渡す。
どこを見ても、彼のセンスだ。
唯一、六畳一間に似つかわしくない37型のプラズマテレビだけが、
自分を主張していた。

一緒にご飯を食べるために用意したちゃぶ台に、
二人分の食事が並べられることも、もうない。
電子レンジの下にある衣装棚の中身は、
玄関先にあるダンボールの中にすっぽりと入ってしまった。

終わったんだ。
私はしばらくぶりに、穏やかな心境になる。
あとやることは1つ。

「簡単やで。電話1本やで。『すんませーん、ちょっと荷物取りに来て』。
ヤマトさんとこ電話や」
同僚の声が、脳裏に蘇る。
私は静かに電話を手に取った。
スポンサーサイト
[2008/02/29 20:09 ] | 未分類 | コメント(0) | トラックバック(0)
<<『罪と罰』 | ホーム | 揺れる>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。